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ユーザーストーリーマッピングで大規模改修のプランニングをやってみた

f:id:mikeda3:20160512162456j:plain こんにちは! iettyのデザイナー池田です。

今回はユーザーストーリーマッピングの紹介です!

iettyは2012年2月創業から4年、サービスを支える管理画面を要望に合わせてつぎたしつぎたし作っていましたが、 全体像がわかりづらくなってきました…。長く運営されているサービスならよくあることだと思います。

今まで山ほど積もっている改善要望、いつかやりたいと思っていたこと、全部の夢をまとめた「さいきょうのかんりがめん」にしたい!! でもどこから手をつけていいのかわからない……

そんな問題を解決すべく、管理画面の大規模改修プロジェクトの計画フェーズにユーザーストーリーマッピングを取り入れてみましたので紹介します!

ユーザーストーリーマッピングとは

ユーザーストーリーマッピングは、Jeff Pattonが開発したユーザーストーリーの並べ方の手法で、

  • プロダクトの設計
  • ユーザーのサービスの利用フロー
  • リリース計画

を一度に見える化する手法です。

プロジェクト全体を俯瞰しながら、大きな開発プロジェクトを徐々にパワーアップさせる小さなリリース計画に分割していくことができるようになるのが大きな利点です。

ユーザーストーリーとは?

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ユーザーストーリーは、短い記述で、開発要望の本質を伝えやすくするアジャイルの手法です。

「Who」「What」「Why」の3点を押さえてその他はシンプルにすることで本質的な要望を出しやすくするフォーマットで、 これを起点に話を深掘りすることで、実装要件をより本質的につめていけます。

ヘンリー・フォードの格言に「もし私が顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えていただろう。」というものがあります。 毎日管理画面に触れているスタッフからの意見はありがたいのですが、そのまま聞き入れていれば「早い馬」になってしまうでしょう。

ユーザーストーリーの形で要望を簡潔に吸い上げ、ユーザーストーリーを起点にして、ディスカッション・ヒアリングをしながら問題・要望の本質を見極めていきます。

その後、プロダクトバックログに追加、優先度順に開発をしていくプロセスが一般的ですが、 それを消化していくだけでは、いつになったらサービスが全体的に良くなるのかわかりづらい!

そこでユーザーストーリーマッピングが真価を発揮します

ユーザーストーリーマッピングの利点

サービスフロー x 優先度の2軸で、開発計画の全体像がビジュアルで直感的にわかる!

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横軸がユーザーのサービスの利用の流れを表し、縦軸に優先度の高いストーリーを順に並べていきます。 バックログのように優先度の1軸だけでなく、サービスフロー x 優先度の2軸で見ることができるのでサービスの開発計画がより直感的にわかりチーム全体で共有しやすくなります! また、リリースラインにストーリーを切り分けていくので、リリースごとにサービスがどのように進化していくのかがわかりやすいです。

段階リリースの計画が立てやすい!

f:id:mikeda3:20160511132907p:plain Henrik Kniberg によるMVP(Minimum Viable Product)を紹介するイラスト

少しずつリリースをするとき、「移動を早くしたい!」という目的に対して上の段では4回目のリリースにならないと、満足に移動できませんが、 下の段のように、初回リリースでも「移動を早くしたい!」という目的は徒歩よりは早いのでちょっと達成されています。

リソースが限られているチームでも、最小限の工数で初回リリースから「移動を早くしたい!」という目的を達成できるようにするためには 各利用フローでのストーリーが満たされているように気を配る必要があります。

利用者の目的を達成できる最小の要件を見極めることは難しそうですが ユーザーストーリーマッピングで各利用フローを最低限達成できるストーリーをピックアップしてリリースラインに切り分けていけば 一番上のストーリーのリリースラインは、スケートボード、下の方のストーリーのリリースラインは車になっているでしょう!

思考の穴が見つかりやすくなる!

利用フローに沿ってストーリーを並べているので、前後関係や一貫性を意識しながらストーリーを整理していけます。 また、利用フローに要望が多く寄せられているところ、そうでないところが可視化されて 要望が全然寄せられていないフローの箇所も、突っ込んでヒアリングをすると 「運用でむりやりカバーしていたがだいぶ無理のある使い方をしていた」という、 普段意識していなかったシステム上の問題点を発見することができました。

全体を俯瞰することで、没入していたときには気づきにくかった見落としポイントの発見にも役立ちます。

継続して続けるためにiettyでやっている工夫

基本的にマップはwebで管理

どんどんストーリーを集め、分類していくとオフィスの壁がなくなってしまうというデメリットがあります😱

開発部・カスタマーサポートチームはオフィスが分かれていることもあり、 Stormboardというwebふせんボードツールで管理しています。 コメント、投票機能もあるのでユーザーストーリーマッピングの共有に便利です!

ユーザーストーリーは、思いついた時に誰でも書けるようにスプレッドシートで管理

ユーザーストーリーの書式にはこだわらず、誰でも使えるGoogle SpreadSheetに記入してもらっています。 記入してもらったユーザーストーリーを起点にディスカッション・ヒアリングをしてからユーザーストーリーマッピングボードに追加しています。


何からはじめればわからなかったプランニング素人にとって、ユーザーストーリーマッピングは取りかかりやすくビジュアルでわかりやすかったので今後も活用予定です。

ユーザーストーリーマッピングについてもっと知りたい方はこの本がおすすめです! http://www.amazon.co.jp/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0-Jeff-Patton/dp/4873117321www.amazon.co.jp